(久しぶりに思い出)
15年前の話・・・・
会社に入って一年目の私には代休が無い。
上の二人の先輩は冬に溜まった代休を謳歌している。一ヶ月以上休むのである。
私も来年こそは夏休みをとってやるとぼやきながら会社で留守番をするのである。
何をするかと言うと酒屋の仕事で史上最悪と名高い粕詰である。
瓶場の人たちと一緒にやるのだが、
「若いもんに入ってもらおうか」
などと言われ、上半身裸にされどろどろの粕の入ったタンクに入れられる。
タンクの中に入ると板が一枚置いてありそこに乗る。踏み外すと二メートルくらいあるタンクの中で人間の
粕漬けが出来上がる。
それに空気が無い!いやあるだろうがアルコールの割合のほうが高いだろう。
その中でスコップ片手にすくってはタンクの下の桶に落とす。それを瓶場の人たちがすくい袋に適当に量りながら入れていく。
私は半日もやればタンクの中で酔いが回り上機嫌である。一日やればヘロヘロ。
しかし、一日かけてタンクの中の酒粕をやっつけた時の達成感ときたら忘れられない。
でも、ほうらいせんに粕堀が無くて良かった。荒川