ふきのとう

蕗の薹を見ると昔を思い出す。

私が明眸と言う酒屋に勤めていた頃、蔵人は何かに付けて宴会をしたがりその度にしこたま酒を飲まされる。

すると次の日、仕事中に気分が悪くなり建物の陰でゲーとやる。
私は決まって同じ場所にゲーとやっている。

その場所には、春先になると何時も蕗の薹が出てくる。

ある日、いつものように蕗の薹にゲーと引っ掛けようと思っていたら蕗の薹がみんな取られてなくなっている。どうしたのかな、何て思っていたらその日の昼ごはんに蕗の薹のてんぷらが出てきた。

私は食べなかったが、他の社員は美味しい美味しいといってパクパク食べていた。
そりゃ美味しいはずである。私が肥料を与えていたからね。荒川