蓋を回す、すると果物様の香りが漂いただのお酒とは違うと気づく。
そうこれは、今年の鑑評会専用のお酒である。
他の蔵元さんと戦うために造られた秘密兵器である。現在の私の持ってる技術すべてを使って醸した。
これをきれいなグラスに注ぐ、そうだな、なるべく品のあるしゃれた自分のお気に入りのグラスが良いな。
グラスに注ぐとまた一段と香り立つ。吟醸香と言うが、これは酒の肴を拒む。だから私はこの酒を単独でいただきたい。口に含む・・・・口のなかいっぱいに香りが広がる。
相当辛いがその中にトロリとした甘味が見える。シャープな口ざわり、雑味など皆無、まさに品の良いじゃじゃ馬である。
それでいて最後は何事も無かったように口の中に消える。
これほど良い女はそうはいない。気が強いのもご愛嬌。
この酒は車で言うとレースカーである。乗り手を選ぶし沢山飲む酒でもない、料理とも合うとはいえない。
おいしい料理の前にグラス半分キュッといくとその後のご馳走の味が変わり、その後、お供のいつもの晩酌のお酒も一味違うはず。
ほんとに少量、数十本単位(実際、本当の鑑評会用のお酒は出回らない)だがぜひお試しあれ。
どこかで必ず買えるはず。そう、どこかでね。荒川
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