私の朝一の仕事は,櫂突きである。眠い目をこすって櫂を突く。この仕事はなるべく自分でやるようにしている。
自分で櫂を突く事によって、モロミの香りを感じ、櫂突きの抵抗を感じ、色を感じ、泡の出方を感じる。音を感じる。味を感じる。
温度変化も昨日の晩と比べ、それをふまえて品温をどうもって行くか決める。
分析係りの高木田ねーさんを信用してないわけじゃない。
1700ℓのもろみをほんの100CCそこらで判断しようと思うのがそもそも無理がある。
モロミとの会話が完璧に出来れば分析なんていらない。分析の数字だけではお酒は計りきれない。
数値の良いものを造る分けではない。美味しい酒を造る事が、私の使命である。
数字に惑わされる事も良くある。分析せずに完璧に管理できれば、私も一人前の職人。
でもまだまだ、半人前。
とりあえず酒と良く話しをして良く飲むことだ。
飲む口実じゃないよ。荒川
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